coffeebookの日記

好きなことを好きなように綴ってしまいます。つれづれなるまま。

「音」について。

毎年正月に放送される、「芸能人格付けチェック」は、テレビの前でのんびり以外過ごし方のない私にとってビッグな楽しみだ。料理やワインなど、さまざまなテーマでホンモノを見分けなければならない芸能人の皆さんもかなりプレッシャーになってるらしいことが、あのGackt様の円形脱毛症ではっきりした。


中でも見逃したくないテーマが、「演奏を聴いて名器を当てる」お題だ。数少ない視聴者参加タイプのお題。それも、総額何十億円もする名器による弦楽三重奏など、そうそう聴けるものではない!かつてオーケストラに所属していたことや、音楽漬けな家族の中で育ったせいもあるのだろうか、音には大きな興味がある。
 
大量生産の楽器とは明らかに違う奥行きやボリュームは、やっぱりすごい。音の素晴らしさのあまり、作者の名前が楽器につけられる。その楽器が数百年経った今も他を寄せつけない音を奏でる。
「音楽」は衣食住のように不可欠な存在ではない。だが、こんなに人間の心に直接響く力を持つものは、他にはない。言葉でもなく、数値的なデータでもなく、形も色ない。にも関わらず強力に伝わってくるメッセージ…うーん、不思議だ!
 
音楽に込めるメッセージ。どの作曲家も、感情が溢れ出すように旋律を紡ぐ。
 
フレデリック・フランソワ・ショパンは、「子犬のワルツ」や「雨だれ」、「ノクターン」、「英雄ポロネーズ」など、誰でも一度は聴いたことのある美しい旋律を生み出し、「ピアノの詩人」と呼ばれる作曲家だ。どのメロディを聴いても、彼の込めた情景がはっきりと浮かび上がってくるのは不思議な体験だ。
旋律に描かれた風景やメッセージは、真っ直ぐで繊細で、情熱的で…長く結核を患い、39歳でこの世を去った儚く美しい青年の人間性が溢れている。
クラシックファンなら、ショパン大好き!という人も多いだろう。名前は知ってるけど興味ない…という人も、ぜひ一度聴いてみてほしい。みずみずしく、滴るほどに潤った音というものが存在することがわかる。
 
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン。彼を知らない人はいないはずだ。「第九」や「運命」など重厚な交響曲から、「月光」といった穏やかなピアノ曲まで、幅広い名曲を生み出した天才だ。
だが、旋律が湧き出すようにサラサラと作曲した人ではないという。楽譜には、何度も何度も音符を書き直した跡が残っている。頭の中に完成形で湧き上がる楽譜を書き出すだけだった、というモーツァルトの天才ぶりとは違う。
苦労を重ね、耳の病に悩まされ、自殺のための銃を常に机に入れていたというベートーヴェン。その彼の精神がどん底から立ち上がり、運命に打ち克った歓びを表現した音楽が「交響曲第九番」だ。
かの有名な「第四楽章」は、運命という魔物を踏みにじった瞬間を描いたに違いない。聴く者の心を激しく揺さぶり、高揚させる旋律だ。
カラヤンベルリンフィルハーモニーが1983年に演奏した「第九」(グラモフォン)はおすすめだ。ぜひぜひ一度聴いてほしい!指揮者の力量がすさまじく、壮大な傑作を身体全体で味わうことができる。最後は涙が溢れるはずだ。
 

 

 

 

別れの曲~ショパン名曲集

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ベートーヴェン:交響曲第9番

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