coffeebookの日記

好きなことを好きなように綴ってしまいます。つれづれなるまま。

ラピュタの「バルス!」について

天空の城ラピュタ」は、誰もが知っているジブリの名作だ。空想だと思われていた天空の城「ラピュタ」の王家の娘シータと、炭鉱で働く少年パズーが、ラピュタの謎を解いていく。そして同じく王族の血を引き、ラピュタの技術とパワーを手に入れ世界支配を目論むムスカに戦いを挑む…というストーリーだ。


廃墟となりながらも、高度な技術と計り知れないパワーを保って天空にあったラピュタ。シータとパズーは、城をムスカの支配から守るため、王家に伝わる「滅びの言葉」を唱える。すると、城を中空に保っていた全てのパワーが崩壊し、ムスカは悲惨な死を遂げる。少年と少女は、城を支えていた巨大な木の根に守られる…というラスト。何度観てもさまざまな感情に揺さぶられる。
 
ところで、最後にふたりが唱えた「滅びの言葉」は、「バルス」という非常に短い言葉だった。
以前、一緒に観ていた主人が、「『バルス』って、短いよなー…もっと長くて難しい呪文じゃないとダメじゃないか?」と言い出した。そこ、突っ込むか?と思いつつ、私もそれを一緒に考えた。
「でも、長いと、唱えてる間にやっぱりやーめた、とかなりそうじゃない?滅びは一気に実行できないと無理というか…」というのが私の考えだ。
 
主人と私の行動パターンは、対照的だ。主人は、何をするにも「超」じっくり考えてから行う。以前掃除機を買い換える際、あまり長期間悩んでいるので、「もういいじゃんダイソンで!」と言ったら喧嘩になった。彼は、掃除機ですらその位本気で長時間検討する。
対して私は、直感で思い立ったらすぐにやらずにはいられない。ビビッとくる瞬間があるのだが、それが100%正解だとは言えず、的はずれな時もある。だが、私はビビッとを信用している。
 
ちなみに、実印。非常に重要な契約などの際、証明書類に押す印鑑だ。これには上下を示す印がない。
これは、それらの重要書類に印を押す際、上下を確認する間にも「押してもいいかどうか」を考えられるように、という配慮だという。ものすごい配慮だ。
この例からは、重要なことがらはできる限りじっくり考えるべきだ…という教訓が滲み出ている。うーん、やはり慎重に越したことはないのか?
 
しかし、思い切りが大切な場面も間違いなく存在する。
例えば、プロポーズ。将来のあれこれをじっくり慎重に検討なんぞしていたら、いつまでたっても怖くてプロポーズなんてできまい。いくら考えても、先や結論が見えないことだってたくさんあるのだ。人生はいつも思わぬ方向へ転がっていくのだから。
 
結局、ものすごく悩んで決めても、直感で決めても、結局行き着く先は誰にも分からない…ということじゃないだろうか。散々悩んで決めたダイソンがすぐ故障する可能性だって充分あるのだ。
 
だが、ラピュタのラストは、城が滅びなければ間違いなく世界はムスカに支配され、ひいては地球も滅ぶことになっただろう。
よく考えれば、王が「滅び」を実行するのは、危機に直面し、やむを得ないと判断した場合しかあり得ないのだ。
ラピュタの祖先たちは、世界をより良い方向へ導くために「滅び」を準備していたのではないだろうか。
「善は急げ」という言葉がある。ここはやはり躊躇せずに一言で完了する「バルス!」が正解だと私は思う。皆さんはどうだろうか?
 
 

 

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